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遺留分の侵害
遺留分とは相続人固有の権利であり、遺言や生前贈与で侵害することができません。被相続人の兄弟姉妹に遺留分はありませんが、配偶者や子、父母には一定割合の遺留分が認められます。
民法第1028条で、次のように定められています。
1.直系尊属のみが相続人であるときは、被相続人の財産の3分の1
2.その他の場合には、被相続人の財産の2分の1
妻と子一人が相続人という状況で、被相続人が愛人に相続財産1億円全額を相続させるという遺言を残した場合には、遺留分は5000万円で、その半額2500万円を妻と子が相続することになります。
なお、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から、1年間これを行わないときは、時効によつて遺留分減殺請求権は消滅します。
また、贈与等によって遺留分が侵害されていることを知らなくとも、相続開始のときから10年経過すると遺留分減殺請求権は消滅してしまいます。
請求の具体的な流れですが、一般的には、
1.遺言の確認
2.相続財産の調査
3.相手方に遺留分減殺請求を通知
4.交渉がまとまれば、合意書作成
5.交渉が不調の場合は、遺留分減殺調停の申立て
このように流れていきます。
もし、調停でも話がまとまらない場合は、訴訟を行います。
相手方への請求ですが、受贈者や受遺者に対する意思表示だけで効力が発生します。一般的には内容証明郵便を利用します。少なくとも相手方に意思表示をしたという事実・日付が証明できるからです。もし、遺言執行者がいる場合には、遺言執行者にも遺留分減殺請求権を行使することを伝えておきましょう。
ところで、被相続人が全財産を長男に相続させたい。そして、他の法定相続人も賛成というケースもあるでしょう。その場合には、その他の相続人は遺留分を放棄することになります。
ただ、被相続人の生前は、遺留分放棄の意思表示だけではだめで、家庭裁判所の許可が必要です。家裁では、「遺留分放棄が本人の自由意思によるものかどうか」「放棄の理由に合理性と必要性があるか」「代償性の有無」を考慮して、許可の審判をします。認容の割合は8割を超えているようで、特に許可条件が厳しい訳ではないようです。