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遺言があった場合
被相続人が亡くなると、被相続人の所有財産につき、相続が開始します。
相続人全員が集まり、遺産分割協議を行いますが、誰が相続人なのかを確定する必要があります。
遺言書の有無で相続のやり方が変わりますが、まずは遺言書がある場合の手続きです。
遺言にも公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言などいろいろな種類がありますが、公正証書遺言以外は、封印の開封などはせずに、家庭裁判所に持って行き検認の作業をします。
これは、遺言書が偽造されたりすることを防ぐための証拠保全処置で、検認後には、裁判所から証明書が発行されます。
そして、自筆・署名押印・日付といった様式が守られていれば、遺言は有効となるわけですが、全てにおいて遺言内容が実行されるわけではありません。
民法で定められている一定の相続人が最低限相続できる財産、いわゆる遺留分を侵害することはできません。
被相続人の兄弟姉妹には遺留分は認められていませんが、配偶者・子・父母には一定割合の遺留分があります。
1.配偶者のみの場合は2分の1
2.配偶者と子供の場合は、それぞれ4分の1ずつ
3.配偶者と父母の場合は、配偶者6分の2、父母6分の1
4.子供のみの場合は2分の1
5.父母のみの場合は3分の1
ちなみに遺留分を侵害された相続人は、遺留分減殺請求をすることができます。
いきなり裁判という訳ではなく、一般的には内容証明郵便を利用して、請求の事実を証拠として残しつつ、遺留分を侵害した相手方に対して意思表示をします。
この遺留分減殺請求権は、相続があったことを知ったときから1年を経過すると消滅してしまいます。また、その事実を知らなくても、相続開始から10年を経過した時点で、請求権は消滅してしまいます。
もし、内容証明郵便にて遺留分減殺請求しても相手が応じない場合には、家庭裁判所に家事調停を申し立てます。仮に、調停が不成立に終わった場合は、民事訴訟で解決することになります。
この手続きの流れは、相続だけではなく、生前贈与による特別受益や遺贈も同じです。
さて、遺言がある場合、その内容を完璧に順守しなければならないかというと、そうではありません。遺言により財産を受ける相続人全員の同意があれば、遺言とは異なる分割をすることができます。
しかし、遺言で遺言執行者が定められている場合には、遺言執行者の同意もないと内容変更をすることはできません。