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行政書士職業倫理3
行政書士の職業倫理のご紹介も一応、今回が最後です。
民間企業と異なり、行政書士は業務の進め方も、
行政書士法や施行規則により規定されていて、
一般の人から見ると、少し奇妙な感じがすると思います。
まずは、行政書士法第11条。
行政書士は、正当な事由がある場合でなければ、依頼を拒むことができない。
忙しいからでは、拒否できません。
やったことのない業務だから・・・これもダメ。
まあ、お客様が不安を感じて、依頼を取り下げるならばいいのですがね。
次に、行政書士法施行規則第7条。
行政書士は、正当な事由がない限り、依頼の順序に従つて、
すみやかにその業務を処理しなければならない。
友達とか恩人だとか有力スポンサーとかがやってきて、
自分の業務を最優先で終了させてねとお願いされても、
その前に受任した業務が優先されるという規定です。
まあ、そうはいっても、一つ一つ処理しなければならないわけでもないし、
補助者や従業員を上手くシフトすれば、大体なんとかなるとは思いますが。
そして、施行規則第8条。
行政書士は、正当な事由がある場合において依頼を拒むときは、
その事由を説明しなければならない。
この場合において依頼人から請求があるときは、
その事由を記載した文書を交付しなければならない。
で、正当な事由はどんなものかというと、以下のような場合です。
・・・
A行政書士は、大口のクライアントを抱えている。
建設業許可、産業廃棄物収集運搬許可、宅建業免許などなど、
地元優良会社の許認可業務を一手に引き受けているのだが、
その会社の役員のヒソヒソ話を偶然聞いてしまった。
実は、決算書を複数作成していて、都合に合わせて、
使い分けているというのだ。
さて、A行政書士。
自分の生活を考え、役員の話を聞かなかったことにできればいいのだが、
法第10条にも規定されているように、
行政書士の信用又は品位を害するような行為をしてはならないのです。
まずは、役員に問い質さないといけません。
「噂では、決算書を都合よく使い分けているそうですが、本当ですか?」
もし、噂通りなら、キチンと違法行為に手を貸すわけには行きませんと、
毅然とした行動を取る必要があるのです。
まさに、これこそが依頼を拒むことができる正当な事由なんですね。
昨今、行政書士だけでなく司法書士も、弁護士にも、
不法行為に手を染めて、刑務所送りになる人達がいます。
士業は、一般企業と異なり、法律によって存在を認められています。
法律は当然ながら国民が定めるものです。
(実際は、代議制により国会議員が議決しますが)
不法行為を繰り返すことで、国民の信頼を失えば、
存在そのものを消される可能性もあるのです。
そこのところをキチンと認識して、全ての国家資格者が、
法律に則った正しい行動をする必要があります。
今の立場や生活を当たり前のことと勘違いしてたらダメなんですね。