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業際問題
年末の多忙なときに行われる行政書士会の研修も3日目。
今回は業際問題について学習しました。
一般の人にはなじみのない業際問題ですが、
士業間ではかなり複雑かつ感情的な問題になっています。
行政書士・弁護士・司法書士あるいは税理士・社会保険労務士それぞれに
法律で定められた職務があるのですが、
その職務も特定の資格にしか認められない独占業務もあれば、
共管業務もあります。
また、国家資格間で業務の取り合いも起こっていて、
キチンとした法知識がないと、いらぬ争いに巻き込まれる恐れがあるのです。
特に、行政書士にとって、弁護士・司法書士との関係は非常に悪く、
やれ非弁行為、非司行為といって訴えられかねません。
それぞれの資格には、例えば弁護士法・司法書士法・税理士法という
存在の基盤となる法律がありますが、
昨今の不況は士業にも大きな影響を与えていて、
グレーゾーンに手を出さないと生活できない士業が
多いということでしょうか。
ちなみに行政書士の独占業務は、官公庁に提出する書類と
権利義務や事実関係を証する書面の作成です。
ですので、私は建設業許可や古物商許可、帰化申請など、
弁護士と争いになるような分野のことはよくわからなかったのですが、
相続とか離婚、自賠責保険の請求といった分野では、
問題になっているようです。
さて、自分の場合、注意しないといけないのは弁護士よりも、
司法書士との業際です。
つまり、商業登記の問題ですが、5年位前まではHPに、
提携司法書士の氏名住所を記載していなかったので、
一度司法書士会から本当に提携してるんですかみたいな電話が
かかってきたことがあったんですが、
きちんと掲載してからは連絡もないし、何の問題もないのでしょう。
で、ひとつ、研修会で勉強になったのが、
会社設立の手続と作成書類についてです。
以前から不思議に思っていたのが、行政書士の独占業務である定款を、
なぜ司法書士が作っているんだろうか?
会社登記の際に提出する議事録は、法務局に提出する書類だから
司法書士の仕事なのか。それとも、事実関係に関する書面だから、
当然に行政書士の作成する書面なのか。
イマイチよくわからなかったのですが、
その部分を明快に説明してくれました。
定款や議事録の作成は、間違いなく行政書士の仕事で、
司法書士は作成できない。
でも、登記申請を目的とする書類ということで、
変更登記の際の議事録(の抄本)は司法書士は用意できる。
定款や電子定款も本来作成できないけど、
事実上、法務局は登記申請の際に受け取ってもいいという
奇妙なロジックで運用しているそうです。
業際問題は、条文や判例の判断だけでなく、政治決断も絡んでくるので、
すぐに解決できる問題ではないと思いますが、
国民に信頼されなければ、その国家資格は存在意義を失います。
少なくとも違法行為はしない、誠実に仕事をするといった
最低限のマナーを守れる集団でなければならないといけませんね。